IWAKI CTE33 ガラスについて
IWAKI CTE33 ガラスについて

IWAKI CTE33 は低膨張の硼珪酸ガラス素材で耐熱性、耐薬品性、透明性に優れたガラスです。

弊社ではこれまでTE-32*1ガラスとTE-33*2ガラスを識別して表示・販売を行ってまいりましたが、これらの素材はいずれも化学分析用ガラス器具(JIS-R3503)のJR-1(ほうけい酸ガラス-1)に準拠し、優れた特性を有するものです。弊社ではこれらの素材およびこれらの素材を接合して加工された製品の総称をCTE33と名付け、他の硝材を用いた製品と識別させていただく事といたしました。

IWAKI CTE33
*1 IWAKI TE-32

●弊社工場にて生産された線膨張係数32.5×10−7cm/cm/℃の硼珪酸ガラス素材(チューブ・ブランク)、およびその加工品マーク表示
従来表示:IWAKI TE-32 ⇨ 新表示:IWAKI CTE33

*2 IWAKI TE-33

●国内外の弊社協力工場にて生産された線膨張係数33×10−7cm/cm/℃の硼珪酸ガラス素材(チューブ・ブランク)、およびその加工品マーク表示
従来表示:IWAKI ⇨ 新表示:IWAKI CTE33

※IWAKI TE-32とIWAKI TE-33を接合した加工品マーク表示
従来表示:IWAKI ⇨ 新表示:IWAKI CTE33

●硼珪酸ガラス-2・ソーダライムガラス、その他のガラス素材、およびその加工品マーク表示
従来表示:IWAKI ⇨ 新表示:IWAKI

IWAKI CTE33 の性質
化学分析用ガラス器具(JIS-R3503)のJR-1(ほうけい酸ガラス-1)に準拠し、優れた特性を有します。以下に性質、特性の一例をご紹介させていただきます。
1.ガラス組成

[第1表]にその組成を示すように、主成分であるSiO₂が非常に多い組成となっています。B₂O₃の含有量も多いですがNa₂OおよびK₂Oの含有量が少ないので線膨張係数が非常に小さく、特に耐熱衝撃性に優れています。また耐摩耗性や、引っかき硬度および押し込み硬度も大きくなります。なお優れた熔融技術により泡切剤を添加しないのでガス加工しても発泡したり、着色しにくい特長があります。

2.粘性

[第2表]および[第1図]に示すように、ガラスは常温では非常に大きな粘性を示しますが、温度上昇とともに粘度が小さくなり流動性をもちます。その粘度範囲は非常に広範囲で通常10¹⁵〜10¹²ポアズとされ、それぞれの粘度によって、様々な性状を呈し、ガラスの性質を判断する指標となります。

3.物理的性質

[第3表]に諸特性を示しますが、SiO₂が多くNa₂OおよびK₂Oが少ないため、線膨張係数が極めて小さいことが注目されます。金属およびソーダ石灰ガラスに比較して密度が小さいのも特徴です。

4.耐熱衝撃

ガラスを急熱あるいは急冷すると破損することがありますが、ガラスが温度の急変、すなわち熱衝撃に耐える力を耐熱性といいます。ガラスの表面層は急冷されると張力を、急熱されると圧縮力を受けます。ガラスの破壊強度は圧縮力に強く張力に弱いので、破損は普通、張力によることが多い傾向にあります。ガラスの内部に発生する張力は(1)式に示したように、線膨張係数が小さいほど小さくなるので耐熱性が大きくなります。すなわち線膨張係数の小さいIWAKI CTE33 ガラスは熱に強い特性を持ちます。しかしガラスの耐熱性は形状・仕上げなどの条件によって大きく影響されます。
[第2図]に各種ガラスの150mm×150mm角の3種類の厚さについて線膨張係数と耐熱衝撃温度差の関係を示しました。

5.機械的性質

ガラスが破壊するときは、張力の最大の点から破壊します。ガラスの理論的な強度は非常に大きく200,000kg/cm²といわれています。しかし実際にはこの1/400にすぎません。これはガラスの表面に存在する非常に細かい傷が張力を受けるたびにどんどん大きくなってついに破壊するからです。この表面の傷はガラスを成形するとき、加工するとき、または運搬その他の取り扱いの途中において生ずるものと考えられます。すなわち製品が、

(a)どのような製法で作られたか

(b)どのような加工が施されたか

(c)どのような熱処理が行われたか

(d)製品になってどのような扱いを受けたか

(e)現在どのような使い方をされているか
といったことに関係します。

ガラス器具の設計をする場合に破壊応力としてどの値をとるかは、その製品が長時間使用を目的とするか、短時間使用を目的とするか、圧力、履歴、温度およびその他の条件を考えて決定すべきです。ただし履歴をその都度詳細に知ることは不可能ですので、万全の策として最悪条件の最小値を基準として安全率を何倍か見込んで設計することをお薦めします。強化処理を施したガラスの破壊強度は、徐冷ガラスの場合の3倍とるのが普通です。IWAKI CTE33 ガラスは硬度が大きく、表面に傷がつきにくい特性を持ちます。[第4表]に機械的強さを示しました。

6.電気的性質

ガラスは、電子工業分野において絶縁体、照明灯、電子管部品などにひろく使われていますが、IWAKI CTE33 ガラスは体積抵抗および、表面抵抗が高く、かつなめらかな表面をもっています。またアークの作用によって、炭化されたり、伝導性をもつことがなく、誘電損失が小さい特性をもっております。IWAKI CTE33 ガラスのそれら特性を[第5表]に示しました。温度とそれら特性との関係を[第4図][第5図][第6図]に示しました。

7.光学的性質

IWAKI CTE33 ガラスは精製された鉄分の少ない原料を使用していますので、透過率も非常に良好です。屈折率はnD=1.47です。[第7図]にIWAKI CTE33 ガラスの分光透過率を示しました。屈折率の測定値を[第6表]に示します。IWAKI CTE33 ガラスはタンクによる連続熔解を行っていますが、光学ガラスほどの均質性はありません。[第7図]および[第6表]は保証値ではありません。

8.化学的性質

ガラスの化学的耐久性とは化学的耐食性をいいます。ガラスは大気中に放置すると、空気中の水分、炭酸ガスその他によって表面は多少おかされます。耐食性は化学的侵食に対するガラスの抵抗力の度合いで判断しますが、 Na₂OおよびK₂Oの成分のきわめて少ないIWAKI CTE33 ガラスは、酸性物質および蒸留水による腐食量が他のガラスに比較して、特に少量です。IWAKI CTE33 ガラスの腐食性を重量損失で示すとa)、b)、c)のとおりです。しかしフッ化物を含む燐酸、熱燐酸、フッ化水素酸および熱アルカリのご使用はお薦めできません。フッ化水素酸には、いかなる温度においても腐食されますが、希薄な少量の溶液の場合には顕著な腐食はありません。室温でのアルカリ性水溶液に対する腐食はごくゆるやかですが、温度が40℃以上になると侵食は急に速くなります。アルカリ性水溶液およびフッ化水素酸の水溶液の温度および濃度と侵食速度の関係を[第8図][第9図][第10図][第11図]に示しました。